スピルリナ大学

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スピルリナの栄養効果と健康への影響

      2017/02/27

スピルリナは微細藻類の一種で、その栄養価の高さと健康効果があるといわれることから何世紀にもわたって消費されてきました。

「スピルリナ」は「藻類」より聞こえはいいですが、人気のサプリメントの実体は「藻」なのです。
青緑色の藻類で、亜熱帯地方の海や塩湖で自然に繁殖しています。
アステカ族は中央アメリカのテスココ湖でスピルリナを採取していました。
今日でもアフリカ大陸中央西部のチャド湖で採取されていますが、この湖は枯れつつあります。

雑誌Cardiovascular Therapeuticsによると、スピルリナは「植物色素の多いことと光合成を行う能力があること」から、かつては植物に分類されていました。
遺伝学的・生理学的・生化学的な新しい知見から、科学者はスピルリナを細菌界のアルスロスピラ属に分類し、後にスピルリナ属に分類しなおしました。
いくつかの種が知られていますが、研究論文の著者によると、スピルリナ・プラテンシス、スピルリナ・マキシマ、スピルリナ・フュシフォミスの3種だけは、高い栄養価と治療効果の可能性があることから広く研究されました。

スピルリナはらせん状に生長し、互いにくっつく傾向があることから、採取しやすいです。
濃い青緑色ですが味はマイルドです。
サプリメント以外にも米国食品医薬品局(FDA)は製造業者に対し、ガムやキャンディーなどの加工食品の着色料としてスピルリナを使用することを認めています。

スピルリナの栄養機能

米国立衛生研究所(NIH)によると、多くの人がスピルリナを、減量、肥満、高コレステロールを含むメタボ対策や心疾患対策に勧めています。
また不安、ストレス、うつ、注意欠陥・多動性障害(ADHD)のようなさまざま精神疾患や情緒障害にもスピルリナが勧められています。

NIHによると、スピルリナは月経前症状や筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)など多岐にわたる健康問題に役立つと言われています。
また、亜鉛とスピルリナの組合せは体内から砒素を除去する働きがあるため、著しく大量の水分を摂取する人に向いているとのことです。

スピルリナは効くのでしょうか?

健康状態の改善にスピルリナが有効であるとの科学的な証拠は十分にあるわけではない、とNIHは話しています。
しかしスピルリナは栄養豊富で、その中には普段の食生活で摂取するビタミンには含まれないものもあります。
FDAによるとスピルリナはかなりの量のカルシウム、ナイアシン、ナトリウム、マグネシウム、ビタミンB群、鉄を含んでいます。
また必須アミノ酸(たんぱく質の構成要素)も含んでいます。
実際、スピルリナの乾燥重量の60~70%をたんぱく質が占めています。

しかし、これらの栄養素の推奨摂取量をスピルリナのサプリメントで摂取しようとすると一日中補給していなければなりません、と栄養食品学会(Academy of Nutrition and Dietetics)の広報担当で、ペンシルベニア州ピッツバーグにあるNutrition Checkup社のオーナーでもある Heather Mangieri女史は述べています。
そしてスーパーフードサプリメントには他にも問題があります。

「多くの栄養素を含んだ食品は、その通り、たくさんの種類がありますが、その生物学的利用能について必ずしも分かっているわけではありません。そのため実際に体内に取り込まれる栄養素の量はどれだけなのか分からないのです」とMangieri女史は述べています。

生物学的利用能は、口から取り入れた栄養素のうち実際に体内に吸収される量を表します。
時には2つの異なる食品を同時に摂取する方が別々に摂取するよりもよりよく体内に吸収されることがあります。
Mangieri女史が述べるには、例えばトマトに含まれるロイシンは食用オイルと一緒に摂取すると体内への吸収率が良くなるとのことです。
科学者たちは現在も個々の食品に含まれる栄養素の生物学的利用能と、その栄養素がどのように機能して病気を防ぐのかを研究しています。

「私は登録栄養士として、健康的な食生活の中で食品から栄養素を摂ることをお勧めします。なぜなら栄養素は相乗的に機能し、それにより生物学的利用能も増えるからです」とMangieri女史は述べています。

抗酸化物質としてのスピルリナ

抗酸化物質はがんや心臓病などの慢性疾患の素となる細胞やDNAの損傷を防ぐ化合物です。
体内で合成される種類もありますが食品にも含まれます。
必要以上の抗酸化物質を摂取することは体に良いと考えられていました。
しかし米国立がん研究所によると、大規模な調査研究の結果、抗酸化物質のサプリメントを摂取してもがんのリスクを下げる効果は見られなかった、とのことです。
抗酸化物質のサプリメントを摂取しても肥満などほかの病気を防ぐ効果は見られない、とjournal Current Diabetes Reviewsの2011年要旨で述べられています。

研究では抗酸化物質サプリメントが病気を防ぐ効果は確認できませんでしたが、米国立がん研究所は「臨床研究で有効性が確認できなかったことは、純粋な化学物質として採取した場合と食べ物から摂取した場合との違いで説明できます。食品の中では抗酸化物質やビタミン、ミネラルが複雑に混ざり合っているのです」と述べています。

スピルリナは食品と考えられているため、サプリメントに含まれる乾燥したスピルリナの抗酸化物質としての効果の問題は未解決のままです。

インドのケララ州で、パーンという噛みタバコを常用する87人に対して、スピルリナの抗酸化物質としての効果を確かめる予備的な研究が行われました。
パーンはキンマの樹の葉と様々なスパイスから作られ、一般的には食後、あるいは結婚式や歓迎会のような式典の場で噛まれます。
パーンタバコを噛む人は、口腔白板症と呼ばれる口腔がんになるリスクが高くなります。
Nutrition and Cancerの1995年の要旨では、1年間の調査の結果、毎日スピルリナを摂取した人の45%に病変の完全退縮が見られました。
同時期に行われたプラセボグループで腫瘍が完全退縮したのは7%でした。

抗酸化物質は運動によってもたらされた酸化ストレスが引き起こす筋肉疲労を回復するのに役立ちますが、スピルリナは偶然にも、フェノール化合物、フィコシアニン、ベータカロチンのような抗酸化作用のあるいくつかの化合物を含んでいる、とMedicine & Science in Sports & Exerciseの2010年の研究論文に記されています。
この研究の中で研究者は運動に対するスピルリナの効果を調べるため、ランニングを趣味とする9人の男性を4週間にわたって追跡しました。
その結果、サプリメントを全く摂取しないグループ、またはプラセボグループと比較してスピルリナを摂取したグループでは運動のパフォーマンスと抗酸化物質の体内レベルが大きく増えたことが分かりました。
この予備調査の結果は有望ですが、被験者の母数があまりに小さいため運動による疲労へのスピルリナの効果について結論を出すことはできない、と研究論文の著者は述べています。

スピルリナのコレステロールや中性脂肪(または低脂血症)への効果を調査したいくつかの研究では、スピルリナの効果が認められました。
しかし、人間に対する効果を調査する研究ではほとんどの場合被験者の数が100人に満たず、またその多くはプラセボを摂取する対照群を設定していませんでした。

2008年に行われた研究では、60歳から87歳の78人の成人を対象としたスピルリナの脂質低下効果を調べました。
被験者は1日に8グラムのスピルリナまたはプラセボを16週間摂取し続けました。
Annals of Nutrition and Metabolismの要旨によると、調査後に被験者のコレステロールが著しく減少したことが確認されました。

37歳から61歳の52人の成人に対する別の調査では、初めて高コレステロールと診断されたばかりの人が対象でした。
被験者は1日に1グラムのスピルリナを12週間にわたって摂取し続けました。
調査の開始時と終了時には空腹時の血液サンプルが採取されました。
調査の終了時までに、中性脂肪の平均値、全コレステロール、有害といわれるLDL(低比重リポ蛋白)コレステロールのいずれも減少しました。
しかし、血圧、体重、BMIには変化が見られませんでした。
これはJournal of the Science of Food and Agriculture 2013年7月の論文の結果です。

Spirulina’s hypolipidemic effects published in the journal Cardiovascular Therapeuticsの2010年7月のレビューでは、医者の認識として、心疾患は単に高コレステロールや高中性脂肪が引き起こす病気ではなく、慢性炎症性疾患も原因となる、とあります。
スピルリナは抗酸化物質の作用によって心疾患を抑えたり防いだりするのに役立つ可能性がありますが、さらなる研究が必要です。

スピルリナについての現在の研究

NIHによると、ウイルス感染、腫脹、創傷治癒、免疫システム全般に対するスピルリナの効果を調べる医学的研究が現在進められています。
予備調査ではスピルリナは眼瞼痙攣、つまりまぶたが継続して痙攣することに対する効果は見られませんでした。

スピルリナが消化や減量に役立つかどうか、またスピルリナが記憶障害、不安神経症、うつ病を緩和するのかを判定するのに十分な証拠はない、とNIHは述べています。
研究ではスピルリナが生体エネルギーレベルや慢性疲労になんらかの効果があるとはまだ証明されていません。
NIHによると、調査ではスピルリナがADHDや月経前症候群(PMS)に有効であるかどうかはまだ明らかになっていない、とのことです。

スピルリナのサプリメントは安全でしょうか?

特に食品としての長い歴史を考慮すると、スピルリナは一般に安全であると医者の間では認識されています。
しかしスピルリナは毒性のある金属や有害なバクテリア、そしてある種の藻類が過酷な環境で生長したときに産生するミクロシスチンに汚染されている可能性があります。
汚染されたスピルリナは肝臓障害、悪心、嘔吐、のどの渇き、衰弱、頻拍、ショック症状を引き起こす可能性があり、死にいたる場合もあります。
汚染されたスピルリナは子供には特に危険です。
NIHはスピルリナが安全な環境で生長し無毒であることを保証するため、サプリメントに含まれるスピルリナの原産地を調査することを推奨しています。

自己免疫状態にある人はスピルリナのサプリメントを避けるべきとNIHは述べています。
スピルリナは免疫システムを強化するので、スピルリナのサプリメントは多発性硬化症(MS)、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、関節リウマチなど免疫システムの過剰反応が関連する症状を悪化する可能性があります。
同じ理由でスピルリナは免疫抑制剤の効果を弱める可能性があります。
免疫抑制剤は自己免疫状態を緩和したり、臓器移植の拒絶反応を抑えたりする目的で処方されます。
スピルリナはまた、ワーファリンなどの抗凝固剤や痛み止めの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)のような血栓成長を抑える薬を阻害する可能性があります。
スピルリナと血栓生長を押さえる薬用植物との組合せは出血のリスクを高めます。
NIHによると、このような薬用植物には、クローブ、ダンジン、ガーリック、ジンジャー、イチョウ、ターメリックがあります。

妊娠中または授乳中の女性は安全性が確認されていないためスピルリナの摂取は避けるべきです。
NIHによると、遺伝的病態であるフェニルケトン尿症の人も、さらに悪化する危険性があるため、スピルリナを避けるべきです。
スピルリナの安全量の評価は研究が不十分なため、安全量を超えた摂取を避けるため、医師に相談してその指示に従うのが一番です。

補足情報
・NIHはスピルリナ、または「青緑色の藻類」について討論し、この有機体から作られる製品が有効かどうかを決定するだけの十分な科学的な証拠はない、と指摘しています。
・スピルリナに関するUSDAの報告書では、タンパク質が豊富であると述べられています。
・journal Cardiovascular Therapeuticsの2010年の研究論文:”Hypolipidemic, Antioxidant and Antiinflammatory Activities of Microalgae Spirulina”

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